テロ等準備罪処罰法案の必要性
政治活動

テロ等準備罪処罰法案の必要性

「テロ等準備罪の新設を許してしまえば、この国の自由は奪われる」「皆さん一人一人が既に監視の対象になっているのです」このようなありえない事実誤認、扇動、空騒ぎが国会内で繰り広げられる度、私は国会議員として本当に残念な気持ち […]

「テロ等準備罪の新設を許してしまえば、この国の自由は奪われる」「皆さん一人一人が既に監視の対象になっているのです」このようなありえない事実誤認、扇動、空騒ぎが国会内で繰り広げられる度、私は国会議員として本当に残念な気持ちになります。世界広しといえど「恒常的な監視を前提にする悪法。テロを口実にした治安維持法だ」などと、イデオロギー的闘争の一環で論難している国は日本以外に見当たりません。

今回の法案は、「国際組織犯罪防止条約」(TOC条約)を締結する為に不可欠な法律なのです。TOC条約が締結されれば、批准した国家間において捜査の協力や逃亡した犯人の引き渡しなどが円滑に迅速にできるようになるメリットがあります。しかし現在我が国は条約を締結できていないので、外交ルートを使って地道に交渉をするしか方法はなく、国を跨ぐ捜査共助は半年から年単位の時間がかかってしまっています。さらに犯罪に関わる国際的な情報交換網からも、現在の日本は外れているのです。世界のどの国もTOC条約は必要だと認識しているので、現在187カ国、国連加盟国の97%が既に批准しています。あの北朝鮮ですら、昨年締結済みです。ついに未締結国は11か国のみになり、先進国では日本だけが最後に取り残されてしまっているのです。

今国会で法案成立に反対の民進党は、民主党時代からTOC条約締結に向けては現行法で充分対応可能との主張をしていました。そうであれば、民主党が政権を取っていた3年3か月の間、なぜTOC条約に加盟出来なかったのでしょうか。まさにこれこそ、新たな法整備が必要だという証左だと私は考えます。

「テロ等準備罪は、人権侵害の恐れがある」との意見は今まで数多く頂きました。その声を受け、今法案では対象犯罪を676から277にまで絞り、重大犯罪の具体的な計画に基づく「準備行為」を行った「組織的犯罪集団」のみを取締り対象としました。テロは1件でも起きてしまえば、多くの犠牲者を伴う大事件になってしまいます。残念ながら現行法では、実際にテロ行為が実行されなければ、逮捕はできないのです。

過去に日本人が巻き込まれたテロは、記憶に残っている重大事件だけでも、1996年ペルーの日本大使公邸人質事件、1997年エジプト観光客襲撃、2001年アメリカ同時テロ、2002年バリ島爆弾テロ、2013年アルジェリアガス田人質事件、2016年バングラデシュ殺害事件、国内でも1974年三菱重工爆破事件、1995年地下鉄サリン事件などがあります。東京オリンピック開催はいよいよ3年後に迫っています。緊迫した世界情勢の中、一刻の猶予もありません。国民の命と財産を守ることに与党も野党もないはずです。十分な審議を重ね、一日でも早い法案の成立に向けて立法府の一員として努力することをここに誓います。