処理水問題:日本は世界貿易機関(WTO)へ提訴に踏み切る時が来た!
8月24日に開始された福島第一原発処理水の海洋放出に対して、日本産水産物の輸入を全面禁止に加え、執拗な処理水の「危険性」や日本政府への放出に対する口撃など、中国の異常な反応が目に余る事態となっています。日本も今回は「遺憾 […]
8月24日に開始された福島第一原発処理水の海洋放出に対して、日本産水産物の輸入を全面禁止に加え、執拗な処理水の「危険性」や日本政府への放出に対する口撃など、中国の異常な反応が目に余る事態となっています。日本も今回は「遺憾の意」を伝えるだけでなく、国際原子力機構(IAEA)の声明や放出後のモニタリング結果など客観的な情報を中国語で在中日本大使館から中国のSNS上で「攻めの情報発信」を手がけはじめています。
その効果は徐々に表れており、中国の複数の原子力発電所から2021年放出された放射性物質トリチウムは、日本で年間放出される量の約10倍にも達していると図解をつけて公表しました。
すると中国国内から8月30日で平常時の80倍にあたる864万回閲覧されており、高い関心がある事がうかがえます。
中国は処理水放出を政治使用して、科学的根拠のない不安を煽る批判を繰り返しながら、日本の近海には従来と変わらずサンマなどの海産物を獲りにきています。まさに言っていることと、やっていることが違う支離滅裂な対応をしているのです。日本がまず取り組むべきは、外交の場で、中国のこの対応の矛盾をしっかり突くことです。
次に日本が取り組むべきは、国際社会を味方につけて中国を孤立させ翻意を迫ることです。東南アジア諸国連合(ASEAN)や20カ国•地域(G20)の首脳会議で、岸田総理は自ら出向き、科学的根拠に基づく日本の立場を丁寧に説明して多くの国の理解を得ることができました。しかし、中国が頑な姿勢を崩さない現在、日本は世界貿易機関(WTO)へ提訴に踏み切る時がきたと思います。日本の処理水に「核汚染水」などと誤ったレッテルを貼って、不安と反日感情を煽る中国には一部の理もありません。
私も環境副大臣の時に、ヒアリの対応で中国と対立したことがあります。ヒアリとは、強い毒性を持ったアリで、緊急対処特定外来生物に指定されています。このヒアリが中国のコンテにくっついて日本に入ってきたのです。科学的根拠に基づいて毅然と対策を中国側に求めると、分が悪くなってきた中国側は「他の国からヒアリが来て中国も被害者だ」と主張を始めました。そこで私は「今は日中間で話をしている。この2国間では、中国は加害者、日本は被害者だ。この問題は加害者が対応すべきだ」と主張して、対策を講じる約束を取り付けました。この会談で学んだのは、科学的見地に基づく主張を毅然と続けると、中国は理論武装に敵わないと判断し、瞬時に姿勢を変えてくると言うことでした。
日本が、この処理水の問題で暴挙を繰り返す中国に立ち向かわないようであれば、今後世界の多くの国々は中国の様々な威圧的な姿勢に対抗できなくなります。今年6月には、G7広島サミットで「経済的威圧への共同対応」を打ち出しました。このサミットの議長国はどこの国でもない「日本」なのです。日本の国としての矜恃が、国民からだけでなく、国際社会からも、問われています。