広島で見せた日本の覚悟
「英国のEU離脱」と「オバマ大統領の被爆地・広島への初めての訪問」この歴史的な報道は世界中の人々に大きな驚きをもたらしました。私はこの2つの事象には、ある意味対局の思いが含まれていると考えています。 「英国のEUの離脱」 […]
「英国のEU離脱」と「オバマ大統領の被爆地・広島への初めての訪問」この歴史的な報道は世界中の人々に大きな驚きをもたらしました。私はこの2つの事象には、ある意味対局の思いが含まれていると考えています。
「英国のEUの離脱」は、移民問題や主権回復など様々な国内問題を、すべてEUに責任転嫁し、国民の鬱積した不満を解消しようとした結果です。この英国の国民投票結果は、世界を一気に駆け巡り、株価の暴落、極端な為替市場の円高を誘発し、そのうえ英国のスコットランド、スペインのカタルーニャなどヨーロッパ各国に潜在的に存在する独立運動の機運を高める等、EU離脱のドミノ倒しの引き金を引きかねない状況です。今後の世界の景気低迷や政治的不安定を誘発する等、将来を危惧する重苦しい空気が世界を覆ってしまいました。
これに対し歴史的な「オバマ大統領の広島訪問」では、原爆を落とした国と落とされた国が共に「核なき世界を追い求めよう」と世界に向けてメッセージを発信しました。両国は互いの立場を思いやり、日本は謝罪を求めず、米国は犠牲者を悼む真情を表明しました。そして、オバマ大統領が被爆者と言葉を交わし、自然な形で抱擁し合ったその姿は、世界に発信され大きな感動を呼び起こしたのでした。
改めて総括すると、英国のニュースは、起こる問題の責任をすべて他者に押し付ける「被害者の生き方」を選択した結果、前向きな状況へと改善する力を削ぎ、周囲に不安だけを拡散してしまいました。
一方で広島のニュースは、日本が全てを受け入れた事によって、「被害者の生き方」から解放され、未来に向けた前向きな活力が湧いて来たのではないでしょうか。
「被害者の生き方」にならないようにするには、「目の前の全てを受け入れる覚悟」が何より大切だ!ということを2つのニュースは見事に証明して見せてくれました。
英国では昔から、自己の分に応じて社会・国家に尽くさねばならない義務があるという考え方「ノブレス・オブリージュNoblesse Oblige」(訳:高貴さは義務を強制する)があります。今こそ世界の国々が、日本と米国が広島で見せた立ち振る舞いを見習って、ノブレス・オブリージュの考え方に沿ってすべてを受け入れる覚悟を取り戻すことを行動で表して欲しいものです。