薬業界の未来と対応策
「国民皆保険制度を維持しながら、真の地域医療連携システムを構築し、国民の健康長寿に貢献する。ヘルスケア産業を創造し、日本をリードする業種への転換を図り医療業界を守りたい。」摂津市薬剤師会石田行司会長は論文で語っています。
摂津市薬剤師会石田行司会長が地元摂津市医師会報に寄稿した「激変期を迎える薬業界(医療業界)の未来と対応策」という論文を拝見し、私は大いに感銘を受けました。「国民皆保険制度を維持しながら、真の地域医療連携システムを構築し、国民の健康長寿に貢献する。
ヘルスケア産業を創造し、日本をリードする業種への転換を図り医療業界を守りたい。」とこのような文章で論文はまとめられていました。ここで石田会長の書かれた論文の骨子をご紹介したいと思います。
まず、最初に「医療業界の環境変化」について語っています。高齢社会にむかい我が国は保険収入が減り、支出が増加し続けている状況です。医療と介護は社会保障として括られ、抑制制圧しなければならないと言われ続け、いつしか医療費ダウン、薬価ダウン、介護報酬ダウンを仕方がないものだと受け取られてきました。しかし、社会保障の増加は本当に悪なのでしょうか?
デンマークやオランダは、高い税をかけながらも国を挙げてヘルスケア産業を育成し、高齢者に健康で楽しい生活を提供しています。
そこで国のお金の使い方を「社会保障」と「社会投資」に分けるべきではないでしょうか。「社会保障」は障害を持った方などの社会的弱者を守る制度とし、「社会投資」は予防や治療・再発抑制を行って心身のメインテナンスを行うヘルスケア産業への投資として考え、様々な業種とコレボして裾野を広げていく。日本の大きな産業として「ヘルスケア産業」を成長させる必要があると語っています。
ヘルスケアコラボの具体的な事例としては
1.国立循環器病研究センターの「かるしおレシピ」
2.スポーツ用品会社との共同開発した膝のサポータ
3.疲労に関するエビデンスの取得と寝具の商品開発
4.乗馬クラブを活用した、予防・未病・再発抑制
5.疾病の早期発見と抑制システムも構築
が紹介されています。
医療業界が所有している予防・未病・治療・再発抑制に関する知識や知恵、ノウハウやアイデアは異業種からすれば宝の山です。国民皆保険を守りつつ保険の枠から飛び出し、もっと広く国民の健康や生命を守る活動をすべき時が来ているのではないでしょうか。
「国があっての医療業界。医療業界及びヘルスケア産業があってのわが国」資源のないこの国で、知的集約型の医療業界や周辺産業のヘルスケアビジネスは大きな可能性が秘めています。以上のような論文でした。
最後に私へのメールの中で石田会長は「乱世はチャンスと考えています」とのメッセージが添えられていました。
いまこそ私たち薬剤師もヘルスケア産業へ一歩踏み出す時なのかもしれません。